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少年たち~南の島に雪は降る~

◆少年たち~南の島に雪は降る~

 日時:2017年8月20日(日)17:30~

 会場:大阪松竹座

 

 「少年たちで、ANOTHER?」という声がまことしやかにささやかれていた今夏。縁があって、わたしも松竹座に参じることができた。グッズ売り場でドキドキしながら正門くんのステージフォトを購入。「正門くん」と発音したつもりだったのに、「西畑くんですか?」と聞き返されたときは、心が折れそうになった。

 売り場のお姉さんに心の中で「ごめんなさい!」と叫びつつ、もう一度正門くんの名前を言う。わたしはろくに名前も言えないのだろうか。自暴自棄になりつつ、三つ目となった正門くんのフォトセットを胸に抱き、会場へ向かった。

 じわじわと気分が高揚して来るのがわかったが、おひとりさまのためはしゃぐ相手もおらず、大人しく着席。開演を待った。

 (以下、レポではなく雑感、考察であることを念頭に入れていただき、なおかつ、すべてがわたしの主観によるものであることをご容赦いただきたい。長いです)

 心やさしい囚人たち

 結論から言うと、今夏の少年たちはやさしさに溢れていた。それが今、関西ジャニーズJr.が持っている絶対的な武器、とまでは言えないかもしれないが、これは彼らの長所だと思う。

 入って来たばかりの大西を、よってたかっていじめる赤チーム(正門、吉岡、小島、佐野)。そこへ西畑が止めに入るというシーンで、さっそく正門がいじられる。わたしが観た「少年たち」は、2012年のものが最後だった。こんなにおだやかだったかな、と思わず笑みが零れる。かわいい。愛らしい。憎めない。こいつら、なんで捕まったんだろうなぁ、と首を傾げてしまうくらいに。

 一方、青チームははっきりした理由があった。向井はどうやら密売船に侵入していたようだし、弟の謙杜も同様。目の血走った今江とニコニコふわふわしている大橋は傷害、高橋は頭がキレるという情報以外の情報はないが、詐欺かハッキングかもしれない。赤チームのほのぼのとした雰囲気とは違い、青チーム、特に向井には言葉にできない息苦しさがあった。罪悪感と責任感が内在した向井の言葉。それを知らない西畑の罵詈雑言に、苦しそうに顔をゆがめる向井。

 後に、向井が西畑の弟を庇っていたことが判明するわけだが、もうこの頃のわたしは「向井がやさしすぎる」という理由でめそめそと泣いていた。気づかない西畑の猪突猛進ぶりにも呆れてはいたけれど、そういう性格なのだから仕方がない。

 殺伐とした世界に差し込んだ一筋の光ではなく、薄暗く陰った世界に淡い光となって照らす大西の、おおらかで愛らしい姿が印象的だ。余談だが、どうして正門はギターを持ち込めたのだろうなぁ、と。体の一部だから、とでも言い張ったのだろうか。正門はあまりケンカが強くなかったが(よく殴られていた上にろくにパンチも届かない)、看守とどうやって話をつけたのか。うまいから許されたのかもしれない(なげやり)

 

「悪を飲み込んだ」室看守長

 これも結論からになるが、この看守長は、そもそも極悪非道ではなかったのではないか、と思う。と言うのも最後の捨て台詞「時として、悪をも飲み込まなければならない」である。なにかよからぬことを知ってしまい、希望を失ったのか。それとも、私利私欲のためなら悪をも飲み込まなければならないと思ったのか。

 2012年の濵田看守長が、精神的支配を重きに置いていたのに対し、室看守長の肉体的支配という、はっきりとした違いがあったのはおもしろかった。室看守長は決しておかしな人間ではなく、自分の利益の為に囚人を使い、島の住人を支配していた。理にかなっている、と言ったら身も蓋もないが、理解はできる。ある意味で、歪んだところがない。影がない。すべてが富のため、という潔さ。それが、室龍太と正反対であるというおもしろさ。看守長の制服にマントがついているのも、視覚的に「うつくしいほどの悪」を表現していて、好きだった。まるで宝塚歌劇のような華やかさ。濵田看守長の邪悪で歪みつくした奇人ぶりを偏愛していたわたしにとって、これは大きな刺激になった。

 

結局「少年たち」が好き

 他愛ないことをつらつらと並べてみたが、やはり「少年たち」は様々な思いを呼び起こさせる。日記少年だった重岡大毅が、今ジャニーズWESTのセンターであるということを、当時は想像もできなかった。

 それと同じように、数年後、彼らがどうなっているか想像したところで、その想像をはるかに超える現実が訪れる――と思わせてくれた。ショータイム、笑顔で歌う彼らを見て、わたしは心の底からそう思った。

 なんだかんだ「ANOTHER」の要素はあったものの、脱獄したら南の島だった、という流れはとりわけ突拍子もない感じもなく、すんなりと理解できたのはわたしだけだろうか。突飛で脈略のない脚本が「少年たち」だと腹をくくっていただけに、あまり齟齬のない脚本で、ひとつの舞台作品としても充分楽しめた。尺の都合で省略された部分、例えば赤チームの背景や、謙杜の感情の変化などは「仕方がない」ということにしておく。それもまた「少年たち」らしいし、愛嬌だ。

 

 休憩を挟んで2時間ちょっと。涙を拭いつつ松竹座を後にしたわたしは、満足感と幸福感でいっぱいだった。久しぶりに心を大きく揺さぶられ、今の関西ジャニーズJr.というものを思い知らされた。集団のエネルギー。団体としてのまとまり。それを長所でないと思う人もいるだろうし、そういう面だけでないことはもちろんわかっているけれど。

 公演中、周りの邪魔にならないようにこっそりメモを取っていたが、一番大きな字だったのは「ギター出た~~~」だった。爆音でBIG GAMEが流れる中、エレキギターをかき鳴らす正門くんがいきいきしていて、細かいことを忘れて笑ってしまった。あの演出、大好き。

 

 ……長い。すいません、何文字? 2500字? バカですね。でも楽しかったです。本当に。ジャニーズWESTがデビューしてから、関西Jr.にはお茶の間を決め込んでいたので、こうして今の彼らを見ることができて、本当によかったです。「がんばってるんだなぁ」という第三者的な感じではなく、エネルギーを分けてもらった感じです。

 来年の夏は、どうなっているんでしょうね。一喜一憂しながら、わたしも待つことにします。

 最後までご覧いただきありがとうございました。