備忘録のようなもの

思うことのあれこれを記録しておくところ

舞台「血界戦線 Blitz Along Alone」が最高だった話

 友人に「相田さん、血界戦線読んでください。好きだと思うんで」と言われ二つ返事で頷いたもののなかなか手を付けられずにいたんですが、夏期休暇中にTSUTAYAでコミックスを借りて一気読みしたところ、

 まんまとハマりました(いい笑顔)

 はじめは「ヘルサレムズ・ロットやっべーな」「スティーブンかっこいいな」「レオくん不憫すぎんか!?」くらいのテンションだったのが、『Zの一番長い一日』で登場したツェッド・オブライエンに完全に心を奪われたからさあ大変! あれよあれよという間にわたしの魂はヘルサレムズ・ロットに住みついてしまいました。
 アニメを一気見し、友人に借りた初演舞台のブルーレイを見て、気づけば第3弾のチケットを入手! だってあの郷本直也氏がザメドルの犬ですよ? 見るでしょ! 犬役の郷本さんは観なきゃ損でしょ!

 と、言うわけで観てきました。ここからは、いつにも増して記憶のない感覚オンリーの感想文ですが、まあ思ったことを残したいだけなので、そこんとこお手柔らかにお願いしますね。なにもかも目線がド素人ですので細かいことは言いっこなしで。

 

 

舞台「血界戦線 Blitz Along Alone」

2021年11月7日(日)12:00開演

シアタードラマシティ

 

溢れる作品愛

演技の先にある「存在」

 基本、前情報はあまり入れないタイプなので、観たまま感じたままの感想にはなるんですが、まず演者からキャラクターへの愛着がものすごく滲み出ているというところに感動しました。3度目ということも相まって、各々の解釈で舞台上(彼らにとってはヘルサレムズ・ロット)に存在しているんですよね。それは「憑依している」でも「なりきっている」でもなく、役者ひとりひとりが、役として存在し、役として生きている。だからアドリブもまったくキャラクターがブレない。それどころか「ザップなら言いそう」「レオくんならそう返すよね」と、思わず笑ってしまう。
 ブルーレイで観ただけだった初演のスティーブンも、さすがに3度目は愛くるしさが増していて、うっかり「かわいい」と思ってしまうほどでした。スティーブンは原作やアニメからも「チャーミング」とは対極の、仕事のできるクールな性格をしていますが(もちろんその一言では言い表せないほど、魅力的な個性の持ち主ですが)、普段は見せないお茶目さというか、「そんなスティーブンもかわいいよね」と思ってしまえる説得力のある魅力になっていて、演じている久保田さんの愛着を感じました。かっこいいだけじゃないスティーブン、とてもよかったです。

 

こだわりの演出

 プロジェクションマッピング、舞台装置の転換、小道具(ドローン飛んだぞ!)、照明の使い方、そして絶対に省略しない「技名」。西田さんのこだわりが随所で垣間見えるのも、ひとえに西田さんが「血界戦線」の大ファンということに他ならないですね。だからこそ「ファンなら絶対にここが観たい! いや俺が観たい!」という熱量をひしひしと感じるわけです。その再現度の精巧さ、「そう来たか!」の連続で、もうワクワクドキドキしっぱなし。極めつけの生バンドが興奮を煽るったらない。
 そんな熱量の中でも、座長の百瀬さんは、最高のレオナルド・ウォッチだと思います。「ハロー、ミシェーラ。元気ですか」の一言は、わたしが観た公演ではザップに「何回言うんだよ」とツッコまれていましたが(この話はあとでします)、何度聞いてもいいセリフだな、と思います。なにより、百瀬さんのレオは表情や声のトーンが絶妙で、アニメの再現の先を目指した答えなんだろうな、とすら感じました。西田さんの演出によるものでもあるとは思いますが、カンパニーのみんなで原作の魅力、アニメの魅力を研究し、今日に至るまでに「舞台の魅力」を構築してきたんだなぁ、と。

 

今作の好きなところ

 シーンと共にざっくり残しておきます。テンション高め。

ラン!ランチ!!ラン!!!

 わたしの中で血界戦線で好きなエピソードトップ3に入るランチ回。ツェッドが登場してはじめて3人で行動する回でもあったような。なにはともあれ、一番好きなのは「ワインの瓶で殴り合い」ですよ。原作ですらセリフの応酬(しかもコマの隅っこ)だった気がするのに、全部具現化するんかーい! 痴情のもつれ完全公開かーい! まだツェッドには早いわーい! 腹筋崩壊寸前。客席で「なんちゅう拷問!」と思いながら耐え抜いたわたしはえらい。ザップが流れ弾よろしく殴られるところで死ぬかと思った。アドリブ(だったのかな?)でレオがザップにしこたま悪態を吐いたあと、ザップが「ごめん」と返した瞬間のレオの顔ったら。ツェッドに「やさしくしてあげましょうよ。包丁刺さってるんですから」と言われて「気絶しとこ」と倒れるレオ。気絶便利やなオイ!
 この回ですでにツェッドが淡々としながらも早口で情報量の多いセリフを話していてびっくり。でも、会話のテンポはそのまま、というのがさすが。ツェッド役の伊藤さん自身も誠実な方なんだろうな、と何故かそこまで想像してしまうほど、ツェッドとの一体感があって感動。大好きなツェッドだ~~~~って気づいたら泣いてた。ランチで泣く!? 泣くとこある!? って思うでしょ、わたしも思ったわ。でも、好きなシーンが完全再現されるとうれしいのよ。うん。純粋に、うれし泣きでしたね、あれは。

 あ、そうそう。ダニエル・ロウが想像の3倍、ダニエル・ロウで「こんの、伊達男ぉ!」って笑いそうになったことも書いておかないとね。いやぁ、ほんと、ダニエル・ロウの言い回しだったわぁ。

 

タイトル忘れた(全部言う)

 犬猿コンビが決死の脱出劇! というファン必見の名シーンなのにタイトル忘れました。なんだっけ、どれだっけ。手元にコミックがないとこういうことになるからだめだな(置くところがなくてまだ買ってないんすわ)ただ、まあこの犬猿の良さというのはもちろんあるんだけど、K・Kママ~~~~~~! 泣かすな~~~~! レオが「泣かないでくださいよ。大人でしょ(ニュアンス)」って言ったあと涙声の「泣いてない」に泣いた~~! 銃弾でぶち抜いちゃったカードにキーホルダーつけてあげるレオは何度見てもレオすぎてレオ(日本語)これがレオって感じ。まさか舞台になるとは~~~観られるとは~~うれしすぎた~~~~(けどタイトルは忘れてる~~)

 

世界と世界のゲーム

 「やるんかい!」とずっこけそうになったやつ。だってこれ、途中、プロスフェアーやってるだけちゃうかった!? と思ったらほんまにプロスフェアーだけの時間があった。クラウスそっちのけの時間。クラウスのターンになったらK・Kがずっと見てる。いやいやいや、おらんでもええて!(ばくしょう)確かに、原作ではちょこちょこコマに登場してたけど、そんなとこ再現せんでも! ずっと立っとるがな! と心の中でひっきりなしにツッコミを入れつつ、そしてドン・アルルなんちゃらさんがセグウェイ乗ってるっていうね。もうどこからどうリアクションしていいかわからんて。情報が渋滞やて。ただ、ひたすらクラウスの脚の長さを拝めてよかった。それは間違いない。

 「息抜きは必要ですからね~」って言うレオくんの知らぬが仏の体現者感、やっぱり最高なんだよな。そのままでいてね(誰)

 

ゲット・ザ・ロックアウト!!

 二幕の冒頭、ザップからの「ハロー、ミシェーラ何回言うねん」から始まるアドリブ合戦がまあなかなか、なかなか楽しくてですね。ちょうど百瀬さんのご両親が観劇されていたようで、ザップの「親の顔が見てみてぇなぁ!」に狼狽えるレオがかわいかった。そのあと、おそらくツェッドとのアドリブコーナーで、ツェッドが「パパとママがいらっしゃっているのでご自由にどうぞ(ニュアンス)」とレオを一人にしてしまい、余計狼狽えるレオ。踊ってみたりして~と、ロックダンスを披露するも時間が余る。見るに見かねたツェッドが「見てられませんよ!」と飛び出してきて「ドン滑りじゃないですか」とレオを追い詰めつつ、最後はレオの肩を抱いて「いつも、ありがとうございます。また後で」と去って行って……おーい! 元はと言えばツェッドが無茶ぶりしたから滑ったんやろがーい!(ばくしょう)なんともカンパニーの仲の良さが隠しきれないアドリブ合戦で、最後に(騒がしすぎて怒って)出てきたスティーブンの「親の顔が見てみたいなぁ」が最高にふざけててよかった。久保田さん、スティーブン楽しんでるなぁ。

 それはそうと、この回で好きなのはユリアンですね。ライブラの構成員(ってことになってたはず)だけど、実際に目の当たりにすると「なんなんだよあんたたち!」と言わざるを得ない、というのをきっちり表現してて、好きなキャラクターってこともあってうれしかったっす。専門用語というかね、意味わかんないこといっぱい言っててすごいなって(笑)プロジェクションマッピングのビルを登っていくふたり、ほんとはレオをクラウスが背負っていくけどどうすんだろ、と思ったら仲良く登っててかわいかった。レオ、まさかの原作以上のハードワーク。それ言ったらみんなそうか(特にスティーブン)ていうか、そうよ、アンサンブルの人たち忙しすぎたでしょ、今回。お疲れさまです。最高でした。

 

幻界病棟ライゼズ

 いやあ、どうすんだろ、と思ったら。犬、二足歩行を前提にキャスティングしてて最高でしたね。郷本さんって。犬がしゃべりだした瞬間、原作よろしくザップ以上のハイテンションなもんで、さすがの満身創痍ザップもそりゃあチワワだわ、というね。ほんとに、なんていうか、郷本さんの体現スキルなんなんだって思う(褒めてる) ザメドル脚細すぎてちょっと心配になるレベルだったけど、顔よしスタイルよしで後光が差してた。リード使って戦うの、結構好きだった。ザメドルと犬は仲良かったんかな、みたいな。
 個人的にはルシアナ先生の声の使い分けが絶妙で、ほんとうにルシアナ先生だ~~という素人丸出しの感想が最初にきた。なにより背負ってきたものが大きい人でもあるので、クラウスとのやりとりにはやっぱり泣かずにはいられず。マグラ・ド・グラナが出てきたときに「さすがに映像よね」と思っていたら次の瞬間、物体として出て来て「いや、これも作ったんかい!」って、どこまでこだわるねん、ってね。すごいなぁ、ほんと。もう、作った人すげーやほんと。
 コスプレ大会にならないって改めてすごいことだし、そういう異界の存在を映像ではなく実体化することでできる演出(マグラは浮遊移動するのだ!)があって、そういうおもしろさが好きでしたねぇ。

 

 細かく思い出せばもっとありそうだし、忘れていることも多々あるんだけど、まあこの辺にしておきます。充分長いし。文字数多いし。4000字超えてるってなに。
 生演奏の舞台が久しぶりで、それだけで元取ったな、って思ったし、最近ハマったひよっこファンでも十分楽した。2.5次元というジャンルに捉われない、どこまでも血界戦線の延長線上なんだという感触が、新鮮で楽しかった。テーマパークよ、エンターテイメントよこれは。っていう話を観劇後友人と共有したわけですが。思わず誰かに言いたくなっちゃうくらいのエンタメ性がある。

 

 大好きなシアタードラマシティで素敵な作品に出会えてハッピーな日曜でした。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。